大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈特別編〉巨匠たちの名画が生む、濃密なる美の空間

「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」が、いよいよ始まった。

東京・六本木ヒルズ、森アーツセンターギャラリーへの入口東京・六本木ヒルズ、森アーツセンターギャラリーへの入口

 エルミタージュ美術館の写真を組み込んだ入口をくぐると、待ち構えているのは《戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像》の堂々たる姿。まるで女帝の招待客になった心地がする。

エルミタージュ美術館の生みの親、エカテリーナ2世が来場者を迎える。エルミタージュ美術館の生みの親、エカテリーナ2世が来場者を迎える。

 女帝に導かれるようにして、会場内へ向かおう。初めは、ティツィアーノの《羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像》を中心とした、イタリア絵画の展示空間だ。
 名画とは、こんなにも存在感があるものか。
 巨匠たちの作品が惜しげもなく並ぶさまに、息を飲まずにいられない。

ティツィアーノの作品から、美を巡る旅が始まる。ティツィアーノの作品から、美を巡る旅が始まる。

 オランダ、フランドル、スペイン、フランス……と地域によって章立てされた展示空間を進むにつれ、その場の雰囲気が少しずつ変化していく。
 章ごとに壁が色分けされているのだけが、理由ではないようだ。

オランダ絵画の展示空間。右に見えるは、レンブラントの《運命を悟るハマン》オランダ絵画の展示空間。右に見えるは、レンブラントの《運命を悟るハマン》

 新興市民が絵を楽しんだオランダ、奇妙な発想が多いフランドル、敬虔な信仰心に支えられたスペインと、それぞれのお国柄が美術に反映しているからに違いない。
 巨匠たちの筆が、人の想像力に働きかける力は、計りしれない。当時の各国の空気感まで、時空を超えて運んできてしまうのだから。

奇妙な絵が多い、フランドル絵画の展示空間奇妙な絵が多い、フランドル絵画の展示空間

 会場を巡っていて、気づいたことがある。
 それは、どの作品も鑑賞者の目線にあわせて展示されていて、とても見やすいということ。
 あたり前のようだが、実はこれ、現地と比べると、大きなメリットだ。
 なにしろエルミタージュ美術館は、皇帝の宮殿サイズで建てられたもの。展示室も見上げるほどの高さがあり、広い壁に、絵が二重、三重になって掛けられている。
 だから、どんなに背伸びをしても、絶対に正面からは鑑賞できない作品が少なくない。
 その点、本展では、すべての絵画と、じっくりと向かいあえる。

フランスのフラゴナール、ドイツのクラーナハ、英国のゲインズバラの揃い踏み。いずれもエルミタージュの公式マップに掲載される、名作中の名作。フランスのフラゴナール、ドイツのクラーナハ、英国のゲインズバラの揃い踏み。
いずれもエルミタージュの公式マップに掲載される、名作中の名作。

 85点の出品作すべてが、通常ならエルミタージュ美術館に常設展示されているもの。これがいかに贅沢であるかは、実物と出会って、改めて実感できた。
 まさにベスト・オブ・ベスト。西洋美術の精華が集められた、濃密な美の空間が、六本木ヒルズの52階に出現した。

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

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