大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈第13回〉目撃! エルミタージュの猫

 エルミタージュ美術館の中庭を通り、一人でメインエントランスに入ろうとした時である。
 ふと目の端に何かが動く気配が感じられた。
 見れば、1匹の猫がマンホールの蓋の上に溜まった水を飲んでいる。
「あ。これがうわさの!」
 会いたくて仕方なかった、「エルミタージュの猫」だった。

マンホールの蓋の水を飲む猫マンホールの蓋の水を飲む猫

 この美術館に猫がいることは、よく知られている。多くのドキュメンタリー映像でも、取り上げられてきた。

 猫とロシアの皇室との関わりは、実は美術館の歴史より長い。
 エルミタージュを創立したエカテリーナ2世より少し前の時代に、女帝エリザヴェータ(在位1741〜62年)が、宮殿内のネズミを猫に退治させるよう命じたのが始まりという。
 2016年秋の時点では、70匹ほどが飼われていた。

 といって、猫がいつでも敷地内をうろうろ歩いているわけではない。多くの入場者は猫の影を見かけることなく、美術館を去ることになる。
 猫と出会うには、それなりの幸運が必要だ。

美術館の建物づたいに移動する猫美術館の建物づたいに移動する猫

 その幸運が訪れたのだから、小躍りせずにいられなかった。
 撮影しようと近づくと、猫はいかにも迷惑そうな顔をして、美術館の建物のほうへと逃げていく。
 建物の下部には、地下室の採光用の窓がずらりと並んでいるのだが、そのうちの一つに猫のための通り道が開けられていた。
 猫がくぐった先を覗き込むと、かなり広い空間が広がっているようだった。

猫が消えた窓。地下室に通じている。猫が消えた窓。地下室に通じている。

 館内で猫を見られる場所が、もう一カ所ある。こちらは描かれた猫。
 その場所とは、イタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロの装飾美術を再現した、「ラファエロ回廊」という格調高い空間。
 柱の一つに猫が描かれているのだ。

ラファエロ回廊。左の柱の下に注目。ラファエロ回廊。左の柱の下に注目。
Photo by Valentin Baranovsky
毛並みのいい(?)猫が描かれている。毛並みのいい(?)猫が描かれている。

 この回廊を歩く時は、つい天井画ばかり見上げてしまうので、こちらの猫にも気づきにくいかもしれない。

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

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