大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈第14回〉公開! 250年の歴史を凝縮した記録映画

 上映中、何度となく息を飲んだ。
 エルミタージュ美術館の250年の歴史を追った、ドキュメンタリー映画『エルミタージュ美術館 美を守る宮殿』が、いよいよ4月29日(土)に公開される。
 そのスクリーンからは、驚きと感動が絶え間なく押し寄せてくる。

現館長ミハイル・ピオトロフスキー氏は、子供の頃からエルミタージュ美術館を遊び場にしていたという。そのイメージ映像。現館長ミハイル・ピオトロフスキー氏は、子供の頃からエルミタージュ美術館を遊び場にしていたという。そのイメージ映像。
Hermitage Revealed © Foxtrot Hermitage Ltd. All Rights Reserved.

 映画は、女帝エカテリーナ2世の絵画購入に始まる美術館の歩みを丹念に追う。
 序盤の逸話のいくつかは、本展覧会に足を運んだかた(あるいは、これから訪れようというかた)なら、すでにおなじみかもしれない。そうしたなかにも、エカテリーナ2世の宝飾品コレクションが当時のままに保管されている様子など、貴重な映像が目白押しだ。

エカテリーナ2世の宝飾品コレクション。エカテリーナ2世の宝飾品コレクション。
Hermitage Revealed © Foxtrot Hermitage Ltd. All Rights Reserved.

 20世紀初頭に新興の富豪たちによって購入され、後に館蔵品となった近代以降の名画もたっぷりと取り上げられる。

ゴッホ《わらぶきの小屋》(1890年)など近代絵画も数多く登場。ゴッホ《わらぶきの小屋》(1890年)など近代絵画も数多く登場。
Hermitage Revealed © Foxtrot Hermitage Ltd. All Rights Reserved.

 そんな優雅な時の流れも、1917年のロシア革命以降は一転、緊迫した情勢の連続となる。
 ソ連政府の偏見に満ちた文化政策、第二次世界大戦の独ソ戦など、美術館は何度も危機にさらされる。

第二次世界大戦中、美術品を内陸部に疎開させたため、からっぽとなった館内。第二次世界大戦中、美術品を内陸部に疎開させたため、からっぽとなった館内。
Hermitage Revealed © Foxtrot Hermitage Ltd. All Rights Reserved.

 いかなる困難も、学芸員や職員は、一致団結して乗り越えてきた。
 現館長の父で、元館長のボリス・ピオトロフスキー氏も、美術館の存続に尽力した一人だった。

マージー・キンモンス監督(左)と、ミハイル・ピオトロフスキー館長(右)マージー・キンモンス監督(左)と、ミハイル・ピオトロフスキー館長(右)
Hermitage Revealed © Foxtrot Hermitage Ltd. All Rights Reserved.

 そして今、エルミタージュは世界に開かれた美術館として、新たな歴史を歩んでいる。
 その輝かしい姿がサンクトペテルブルクにとどまっていること、館蔵品が海を越えて日本で展示されていること、それらのすべてが、ある意味奇跡なのだと、この映画は教えてくれる。

映画『エルミタージュ美術館 美を守る宮殿』は、4月29日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

Vol.13コラム一覧Vol.15

開催まで 時間

PAGE TOP