大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈第15回〉ピョートル大帝原図の彫像はヘタウマか?

 サンクトペテルブルクから西へ約30km。ピョートル大帝が18世紀に「夏の離宮」として建設した「ペテルゴフ」がある。
 エルミタージュ美術館と組み合わせて訪ねる人も多い名所中の名所だ。

 総面積約1000ヘクタールと、東京ドーム200個分以上もある広大な敷地には、およそ30の宮殿やパビリオンが建ち並ぶ。
 この離宮を特に有名にしているのが、敷地内の至るところに噴水が設けられていること。その数、150以上。「水の宮殿」とも呼ばれる。

ペテルゴフで最も壮大な「大滝」という噴水 敷地内の噴水が作動するのは、5月上旬〜9月下旬ペテルゴフで最も壮大な「大滝」という噴水
敷地内の噴水が作動するのは、5月上旬〜9月下旬

 ピョートル大帝は、むしろ噴水群を造りたいために、離宮の場所を選んだともいわれる。
 立地は海に面した傾斜地。噴水の水は背後の山中から引かれ、土地の高低差を利用した仕掛けによって、高々と噴き上がる。
 大帝の、土木・工学好きを大いに物語る。

女神を象った噴水。このような単体の噴水も数多い。女神を象った噴水。このような単体の噴水も数多い。

 ペテルゴフにはまた、数百もの彫像が立ち並ぶ。
 その中に、ピョートル大帝の原画に基づいたと伝わる一体がある。
 海の近く、大帝が愛用したモンプレジール宮殿のそばに立つ「ネプチューン像」だ。

ピョートル大帝の原画に基づくとされる「ネプチューン像」。立っている位置はけっこう微妙で、なんとなく所在なさげに見える。ピョートル大帝の原画に基づくとされる「ネプチューン像」。
立っている位置はけっこう微妙で、なんとなく所在なさげに見える。

 造形は、たしかに、やや素人っぽいかもしれない。
 壮麗な彫像が並ぶペテルゴフのなかでは、かなり浮いている存在で、ガイドさんに紹介された時は、正直、つい笑ってしまった。
 ある意味、ヘタウマ系?

 いや、この像の前では、出来のよさは、あまり問題ではないだろう。
 何よりも重要なのは、大帝の心意気が伝わってくること。
 関心を抱いた事柄なら、何でも自分でやってみずにはいられない大帝の旺盛な好奇心と実行力。その賜物が、このネプチューン像なのだった

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

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