大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈第17回〉成長しつづける美術館

 これまで本コラムでは、今年の展覧会のテーマ「オールドマスター」に合わせて、比較的古い時代の話題を扱ってきた。
 もちろんエルミタージュ美術館には、近代以後の美術品も数多く収蔵されている。

ジャン=ジャック・エンネル『赤い服を着た女性の習作』(1890年代)ジャン=ジャック・エンネル『赤い服を着た女性の習作』(1890年代)。
19世紀末に名声を博した画家。エルミタージュ美術館蔵

 とりわけ19世紀末から20世紀初頭にかけて、ロシアの二人の大富豪、セルゲイ・シチューキン(1854〜1936)とイワン・モロゾフ(1871〜1921)が収集した近代フランス絵画は、歴史に残る名画揃い、と高く評価される。

 そうした近代の絵画は、かつては冬の宮殿3階のやや手狭なところに展示されていた。
 しかし2014年、宮殿前の広場を挟んで向かい側に新しい展示室が公開された。建物のかつての役割から、その施設は「旧参謀本部」と呼ばれている。

宮殿広場から見た「旧参謀本部」宮殿広場から見た「旧参謀本部」。美術館として利用されているのは、建物の左側。
「旧参謀本部」入口に作られた大階段「旧参謀本部」入口に作られた大階段。

 モネ、ルノワール、マティス、ピカソ……。
 これらの画家が好きな人にとっては、「旧参謀本部」は天国みたいな場所だ。

 こう言っては美術館に失礼になるかもしれないが、なにしろ入場者の数が少ない。
 団体客のコースに組み入れられてないため、既存のエルミタージュ側の混雑ぶりが嘘のように、館内が静かなのだ。
 時間帯によっては、マティスやピカソなどの大作と、心ゆくまで向かいあえる。
 まさに贅沢のきわみ!

マティス作品の展示室。左から「音楽」「ダンス」(ともに1910年)など。マティス作品の展示室。左から「音楽」「ダンス」(ともに1910年)など。
いずれもシチューキンの邸宅を飾っていた。
ピエール・ボナールの3枚組の大作「地中海」(1911年)ピエール・ボナールの3枚組の大作「地中海」(1911年)。
こちらはモロゾフの所蔵品だった。

「旧参謀本部」には他に、現代美術専門の展示ホールや、ロシア皇室ゆかりの品を並べた部屋などもある。
 まだ使用目的が決まっていない空きスペースもあるとのこと。

「旧参謀本部」内のエカテリーナ2世の衣装などの展示室。「旧参謀本部」内のエカテリーナ2世の衣装などの展示室。
Photo by Valentin Baranovsky

 開館から250年以上を経て、今なおエルミタージュ美術館は成長しつづけている。

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

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