大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈第4回〉女帝は、レンブラントがお好き?

 エルミタージュ美術館の生みの親、エカテリーナ2世(在位1762〜96年)。

ウィギリウス・エリクセン《乗馬姿のエカテリーナ2世像》(1762年以降)。エルミタージュ美術館にてウィギリウス・エリクセン《乗馬姿のエカテリーナ2世像》(1762年以降)。
エルミタージュ美術館にて

 開明的な政策でロシアを近代化に導く一方、対外的には強気の姿勢をとって帝国の領土を拡張した。夫を早くになくしたため、私生活では宰相を務めたポチョムキンをはじめ、多くの愛人がいたことで知られる。
 伝記を語りだせばきりがないが、ここではやはり美術コレクターの一面を語ろう。

エルミタージュ美術館「黄金の間」エルミタージュ美術館「黄金の間」
エカテリーナ2世が集めた宝飾品類などが展示されている。
Photo by Valentin Baranovsky

 前回見たように、彼女のコレクションは、プロイセンの商人より手に入れた317点の絵画から始まった。
 それまで美術にどれほどの関心があったかは定かではないが、これをきっかけに収集熱が高まったのは事実のようだ。
 1760〜70年代に、ことあるごとに絵画を購入。西欧諸国で売りにだされた個人コレクションを、数十点、あるいは数百点という単位でまとめて手に入れていった。

 親交を結んだフランスの哲学者ヴォルテールへの手紙には、次のように書いている。
「当面は購入を控えるべきなのでしょうが、失われた機会は二度とやってこないのです」
 名画を手に入れる機会は、どうしても逃したくなかったらしい。

エルミタージュ美術館に展示される大理石のヴォルテール像(部分)エルミタージュ美術館に展示される
大理石のヴォルテール像(部分)

 最後に大きな買い物をしたのは、52歳を迎える1781年。その頃までに、わかっているだけで、約2500点の油絵を所持していたようだ。そのほかに、記録に残っていない作品も多数あったと推測されている。

 回想録を記すなど文章家としても知られている彼女だが、絵の好みについては、あまり書き残していない。
 エルミタージュ美術館西洋絵画部 部長セルゲイ・アンドロソフ氏は、こう推測する。
「残されている絵画から、レンブラントが好きだったと思われます。コレクションにイタリア絵画が多いのも、彼女の趣味だったのではないでしょうか」

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《運命を悟るハマン》レンブラント・ファン・レイン《運命を悟るハマン》(1860年代前半)
1773年にエカテリーナ2世が購入した。
Photo by Valentin Baranovsky

 ちなみに、カメオなどの宝飾品も熱心に集めている。美しいものに目がない人であったのは、間違いない。

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

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