大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈第6回〉ダ・ヴィンチはアイドル?

 エカテリーナ2世が最初に建てた小エルミタージュは、すぐに手狭になった。
 増え続ける美術品や書籍を展示するために、新たに建てたのが、現在「旧エルミタージュ」と呼ばれる部分だ。
 建築期間は、1770〜87年頃。

レオナルド・ダ・ヴィンチ『ブノワの聖母』の展示風景。レオナルド・ダ・ヴィンチ『ブノワの聖母』の展示風景。
Photo by Valentin Baranovsky

 今、旧エルミタージュには、美術館で最も多くの人を集めているであろう一画がある。
 イタリア・ルネサンス期の巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を展示している部屋である。

 その部屋では、レオナルドの2つの『聖母子像』を、ほぼ常時、展示している。
 それぞれ、元の所有者の名をとって、『ブノワの聖母』(1478〜80)、『リッタの聖母』(1490年代中頃)と呼ばれる。
 いずれも、レオナルドの技量が円熟味を増した時期の作品である。

レオナルド・ダ・ヴィンチの展示室。左の窓際に2点の聖母子像が並ぶ。レオナルド・ダ・ヴィンチの展示室。左の窓際に2点の聖母子像が並ぶ。
Photo by Valentin Baranovsky

 エカテリーナ2世の時代には、同じ空間に、スペインとイタリアの絵画が並べられていたという。
 19世紀半ばに、政府の会議などを開ける場に改造され、さらにその後、レオナルド・ダ・ヴィンチ作品を鑑賞するためのホールに生まれ変わった。

レオナルド・ダ・ヴィンチの展示室は、天井画も美しい。レオナルド・ダ・ヴィンチの展示室は、天井画も美しい。

 美術館を短時間で駆け抜ける団体客も、レオナルドは外せない。だから、朝から晩まで、この部屋は人で混み合っている。
 写真撮影が許されているので、ほとんどの人が聖母と並んでスマホで記念の一枚。
 まるでアイドルの撮影会を見ているようだ。

作品の前に人だかりが絶えることはない。作品の前に人だかりが絶えることはない。

 いや、今も世界中の人から愛される、レオナルドの聖母こそ、ホントの意味で「アイドル」なのかもしれない。

 なお2作品が美術館に入った時期は比較的新しく、『リッタの聖母』は1865年、『ブノワの聖母』にいたっては1914年である。
 残念ながら、エカテリーナ2世は、これらを見る機会はなかったであろう。

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

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