大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち

2017/3/18(土)〜6/18(日)休館日5/15(月)

森アーツセンターギャラリー 六本木ヒルズ森タワー52階 〒106-6150 東京都港区六本木5-10-1

コラム「エルミタージュ浪漫」

〈第7回〉大美術館は一日にして成らず

 これまで、当コラムでは、エカテリーナ2世との関わりを中心に、エルミタージュ美術館の歴史を紹介してきた。
 しかし、美術館が今のような堂々たる姿になったのは、彼女の功績ばかりではない。その後もコレクションは増え続け、建物は増築や改修を繰り返した。

 なかでも大きな仕事をしたのは、エカテリーナ2世の孫のニコライ1世(在位1825〜55)だ。

ニコライ1世の銅像皇帝ニコライ1世は、江戸時代末期、日露和親条約が結ばれたときの皇帝でもある。

 ニコライ1世の銅像は、サンクトペテルブルクの一等地、聖イサク大聖堂の前に立つ。
 市内観光をすれば、いやでも目につくので、「きっと、あなどりがたい人物なのだろう」と想像がつく。
 皇帝に、あなどりがたい、というのも失礼だが。

聖イサク大聖堂前のニコライ1世像サンクトペテルブルクを訪れた人は、必ず通る場所。

 ニコライ1世は、それまでの絵画コレクションの足りない部分を、熱心に補った。
 今回の出品作では、17世紀スペインの画家ムリーリョの『幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ』がニコライ1世の収集品だ。

ムリーリョ『幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ』バルトロメ・エステバン・ムリーリョ『幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ』1660年頃
© The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18
※作品解説へ

 また当時、都のあちこちに点在していた美術品をまとめて展示すべく、エルミタージュを拡張。これが、現在「新エルミタージュ」と呼ばれる部分である。

 イタリア、スペイン、オランダ、フランドルの古典的な名画のほとんどは、今では、この部分に展示されている。

イタリア絵画のホール新エルミタージュのイタリア絵画を展示するための作られた部屋。
Photo by Valentin Baranovsky

 エルミタージュ美術館は、小だの、旧だの、新だのに分かれていて、何度説明を受けても、混乱する。この区別を厳密に覚えなくてもいいかもしれない。
 要は、それだけ長く複雑な歴史を歩んできたということだ。

 美術館の次の大きな動きは、20世紀の初め、ロシア革命によってもたらされる。
 帝国の歴史は終わりを告げ、社会主義国家が誕生。皇帝の住まいだった冬の宮殿もまた、美術館の一部に生まれ変わった。

 さらに21世紀に入り、エルミタージュは大きな進化をとげるのだが、それはまた別の話。いずれ触れる機会があるだろう。

■菅谷淳夫 プロフィール
美術ライター。アート関連のほかにも、旅、鉄道、評伝など幅広い分野の記事を執筆。
『小学館版 学習まんが人物館 レオナルド・ダ・ヴィンチ』のシナリオを担当。

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